「財政が厳しい」ってどういうこと?
2025年9月10日の水マネ大学は、福岡市財政課長や福岡地区水道企業団総務部長を歴任し、2024年12月に独立して自治体の財政を教える活動を始められたOffice aNueNueの今村寛さんに「財政が厳しいってどういうこと?」をテーマに講義していただきました。
「自治体の財政が厳しい」と聞くと、少子高齢化や人口減少によって税収が減ってしまうことと考えがちですが「そうではない」と今村さんは指摘します。
では、どういうことでしょうか? 端的に言えば、より良い未来のため、社会課題を解決するために新たに使えるお金(政策的経費と言います)が少なくなることなんです。
自治体の税収のうち、社会保障費や公債費などの義務的経費、人件費、公共施設等の改修・修繕費、現行の行政サービスを維持するために必要な経常的経費は必ず支出されます。
その残りが、先ほど言った「政策的経費」として使えるのですが、高齢化で社会保障費が増加するなどの影響で「政策的経費」がどんどん少なくなっていっている。それが「自治体の財政が厳しい」ということ。
そして、経常的経費を見直し、政策的経費を増やしていくことが「財政健全化」の本当の意味だとおっしゃっておられました。
つまり、財政健全化は支出を切り詰めるというよりも、未来のための投資額を増やす取り組みと言えます。そう考えるとポジティブに考えることができますね。
今村さんは財政健全化は「スクラップ&ビルド」では進まないことを経験から学ばれたそうです。なぜなら「どの政策も重要だからスクラップできない」というのが事業部局の思いだから。
だったら、まずはやるべきことをビルドし、それから優先順位が低いものをスクラップする。「ビルド&スクラップ」の考え方は事業部局にも受け入れられ、財政健全化の道筋が描けたそうです。
講義では、住民にも財政を理解してもらうために大切にしている「対話」についてもお話しいただきました。
もっと詳しく知りたい方はぜひ水マネ大学2026年度で仲間になってくださいね。