レポート:ワークショップ「ワンルームからはじめるサスティナブルな生き方」
ワークショップ「ワンルームからはじめるサスティナブルな生き方~いい未来を水から考えよう~」を、9月27日にSodaCCo(渋谷区代官山町)にて開催しました。
当日は、ゲストスピーカーとして「“エコロジーとエコノミーの共存”をテーマにサスティナブルな社会の実現を目指すThink the Earthの上田壮一さんと、「これからの社会に必要な会社」と「人」とを結ぶ投資信託会社であり、『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも紹介された鎌倉投信の代表・鎌田恭幸さん、そして約20名の方にご参加いただき、これからの生き方について、みずから(水から自ら)考え、いろんなアイデアや意見を交換することができました。ありがとうございました。
お越しいただけなかった方は是非、以下のレポートをご覧になって、みずから(水から自ら)できることを考えてみてください!
「地球の直径13,000kmに対して、地球上の水だけを集めた球体はたったの直径1400km。さらに淡水を集めると、東京~名古屋間の直径しかありません」(上田さん)
まず登場した上田さんは、Think the Earthが制作した環境教育のための映像作品「みずものがたり」を紹介。太陽系の中で唯一「水の惑星」である地球。私たちにとってはあまりに身近な水が、宇宙という視点から見れば、いかに不思議で貴重な存在なのかを、映像を通して参加者に解説します。
「地球は水に覆われた惑星だと、私たちは思い込んでいます。しかし……」といって、持参したリンゴを半分にカットした上田さんは、その断面を参加者に見せながら、「実際に地球にある水の量はこの皮よりもずっと少ない量です」と説明しました。
私たちの生活は大部分が水に頼っており、そして、私たちが無尽蔵だと思い込んでいる水の量は、実はごく限られている。そのことを視覚で実感した上で、水使用量の増加や、地域格差、気候リスクといった水問題のこと、そしてその解決の取り組みについて、水にまつわる現状を教えてくれました。
「ワンルームで暮らしていても、水を身近に感じる“気づき”の機会はたくさんあります」(奥田)
続いて、奥田が、生活者にとって身近な水の話をクイズ形式で参加者に問いかけます。
「21世紀に入って家庭での水使用量は増えた? 減った?」「それでは家庭における上下水道の料金は?」「デニム一本作るのに使用する水と、Tシャツを作るのに使用する水の量はどっちが多い?」などの問いに対する意外な回答に、参加者から「へえ」という声が漏れます。
私たちの暮らしに水が身近な存在であることを、クイズを通して解説したのち「4つの視点」を意識すれば、水を通して、社会にとって良い選択ができるようになるのでは?と提案しました。
一つ目の視点は「消費」。水や社会に配慮したモノやサービスにお金を払うことで、普通の暮らしを通して、企業を応援するというもの。
そして二つ目は「生活」。調理やお風呂、トイレなどに使う水を、いかに無駄なく、賢く使っていくかという視点。
また、これから社会に出る人々や、転職する人が水や社会に配慮する企業に就職する・転職する。または、直接的に水インフラを支える企業に職を得るという「職場」という視点もあると解説します。
そして最後となる4つ目の視点は「経済・金融」。水や社会に配慮する企業を、消費や就職というだけでなく、「投資」という行動を通して応援し、また自分の利益にもつなげるという考え方。それを実践している会社として、次に登壇する鎌倉投信・鎌田さんへとバトンを渡しました。
“いい会社”という視点を金融に取り込むことで、ほかにはない鎌倉投信の活動を解説する鎌田さん。
鎌田さんは、投資を通じて「いい会社」を応援するという自社理念とともに、「いい会社とは何か?」を解説。企業の利益だけではなく、社会の利益、公共の利益、そして「こころの利益」を考えていること、これからの社会に必要とされる「雇用の拡大」や「循環型社会の再構築」に取り組んでいるかなど、具体的な例と投資先の取り組み、各社の経営理念などを紹介しました。
いい企業は「働いている人がイキイキしている」という話には、なるほどとうなずく人も。企業がどのような取り組みをしているかは、知ろうとしない限り、なかなか目にすることはありません。しかし投資という形で経済・金融に積極的に関わることで、「いい会社」を知る機会が広がるということに、多くの人が強い関心を持ってお話に聞き入っていました。
3つの話題提供を受けて、参加者はそれぞれの手元にある付箋に書いたメモを元に、テーブル毎に話し合います。
①新たに知ったこと、気づいたこと
②こんな未来になったらいいな(未来シナリオ)
③その未来を実現するためにみずから(水から、自ら)やること
④未来を創っていくための課題
について、3つのグループに分かれ、学生から社会人まで、幅広い年代の人たちがそれぞれ課題を話し合い、それぞれがストーリーとして組み立て、発表していきます。
来年就職を控えた学生さんも積極的に意見を出し、発表してくれました
水にまつわる具体的な数字のことをはじめとして、今まで知らなかったことが多いことにショックを受ける一方、知る機会、伝えることの大切さを痛感したという意見、自ら行動を起こすためにはどうすればいいのかという具体的なアイデアなど、さまざまな意見が発表されました。
いっぽう、水インフラ企業に勤める参加者や、節水にまつわる開発を行ってきた参加者から、自身の体験や感じること、課題などについても発表があり、多くの立場からの意見交換が、終了時間を過ぎても熱く繰り広げられました。
各グループが作り上げたストーリーは次の通りです。(PDFはこちら)