金融はインフラの価値を束ねる道具

2026年10月14日の水マネ大学は、オリックス株式会社公共インフラ事業部の廣田哲哉さんと長峰慎さんに、金融の視点からインフラ事業を考える講義をしていただきました。今回はフルオンラインでの開催となりました。

廣田さんによると、事業性を考える際には、収益性だけでなく、借入金を「返せるか」、環境変化に「耐えられるか」という視点も重要です。

水事業では、投資収益率だけでなく、借入金の返済余力を示すDSCRなども重視されるそうです。

ただし、数字は事業の可否を機械的に決めるものではありません。電気代が上がった理由など、数字の動きを分解すれば、課題の原因や改善策が見えてきます。

現場の気づきや技術の価値を事業性の観点から捉え直し、数字を使って社内外に説明する。その際に金融の考え方が役立ちます。

広域化についても、自治体の規模を大きくすることではなく、限られた人材や施設、技術などを地域全体で有効に使うことだと説明されました。「共有できるものは共有する」という発想です。

水処理技術者から金融の世界に移った長峰さんは、「金融屋の価値は資金を出すことだけではない」と話しました。地域にある複数の価値を束ね、実現可能な事業の形に整えることが金融の役割なのだそう。

例えば、下水から回収するリンを肥料としてだけでなく、ファインケミカルや半導体など他産業の資源として捉えれば、新しい事業の可能性が見えてきます。

水、エネルギー、資源循環など複数の事業を地域単位で組み合わせる「地域共生PPP」にもつながります。

水インフラの専門性を深めることと、水インフラのオソトを見ることは矛盾しません。他分野との接点にこそ、課題解決と新しい事業の可能性があります。

金融を単なる資金調達ではなく、社会価値と事業価値を翻訳し、地域の価値を束ねる道具として使う。現場で見つけたひとつの課題を他分野の仲間と解く経験が、日本のインフラの未来をつくると感じた講義でした。

詳しく知りたい方は、2027年度の水マネ大で仲間になってくださいね。